医療法人 竹越耳鼻咽喉科医院 前橋市住吉町, 中央前橋駅 耳鼻咽喉科

耳管開放症

耳管は、鼻の奥と耳をつなぐ管です。飲み込む動作で開きますが、普段は閉じています。
耳管開放症は耳管が開いたままになるため、耳管を通じて自分の声や呼吸音が耳に異様に響き、耳が塞がった感じがします。呼吸に合わせて鼓膜が動くのが見られる方もいます。
常に症状があるわけではなく、突然症状が出て、しばらくして気が付くと治っていることが殆どです。しかし症状は非常に不快です。話している声の大きさが判りにくくなり、接客・歌手など声を使う方は仕事に支障が出ます。実は私自身も耳管開放症があり、不快なことは良く解ります。
原因は耳管周囲が痩せたためで、体重減少、運動後の脱水、病後の体調不良、低血圧などから生じます。
うつむいたり、横になったりして頭部を鬱血させると、耳管周囲の血流が改善し、開いていた耳管が閉じて症状が消失します。
本症はまだ耳鼻科医にも認知度が低く、耳管狭窄症や神経症などと間違えられる可能性があります。また放置すると真珠腫性中耳炎という重大な病気に発展する例があることが判っています。
対策はまず体調を整え、体重を元に戻すことですが、保険治療として漢方薬の補中益気湯が有効です。当院の検討では9割の方に有効でした。
なお、私は耳管開放症研究会への参加及び発表を通じ、漢方療法の公開・最新療法の習得に努めています。また、当疾患の第一人者である小林俊光東北大学耳鼻咽喉科名誉教授よりご依頼を受け、「耳管開放症の漢方治療」の論文執筆いたしました(ENTフロンティア:中山書店:2016年発刊予定)